お酒(酒類)の免許の相続について

お酒(酒類)の免許の相続は、お酒(酒類)の製造の免許とお酒(酒類)の販売の免許のいずれにも事例はありますが、お酒(酒類)の製造の免許に関しては、そのお酒(酒類)の製造の免許者に係る相続ということになりますので、極めてレアなケースです。何故なら、お酒(酒類)の製造の免許者には、お酒(酒類)の販売の免許者に比較して個人の事業者が相当に少ないからです。

そこで、この情報欄ではお酒(酒類)の販売の免許の相続について説明します。

個人でお酒(酒類)の販売の事業の免許を取得している場合の免許の効力は、そのお酒(酒類)の販売の免許を受けた人に限られます。従って、本来はそのお酒(酒類)の販売の免許者の死亡によりその効力は消滅します。しかし、そうすると、それまでお酒(酒類)の販売の事業の免許者が築き上げてきた有形無形のお酒(酒類)の事業の価値に深刻な影響を及ぼし、当該お酒(酒類)の販売の事業だけでなく、広く国民の経済的な見地からも好ましいとは言えません。このような考え方に基づき、お酒(酒類)の販売の事業の免許者が死亡した場合に、引き続き、当該お酒(酒類)の販売の事業を継続しようとする相続の者(民法上の相続の欠格要件のいずれかに該当しない者に限ります)がいる場合には、その相続の者が一定の手続きを行えば、相続の時において被相続人であるお酒(酒類)の販売の事業の免許者が受けていたお酒(酒類)の販売の免許と同一の免許を受けたものとみなして、当該お酒(酒類)の販売の事業に及ぼす影響を最小限に抑えようとする酒税法の規定です。

この相続の者は酒税法の施行令の規定に基づき、遅滞なく、その旨をこの販売場の所轄の税務署長に申告しなければならないとされています。この場合のお酒(酒類)の販売の事業を継続して引き継ぎする相続の者は必ずしも1人である必要はありませんが、2人以上、相続の者がいる場合には、これら相続の者は連署して“酒類 販売業 相続 申告書”を提出しなければならないことになっています。(お酒(酒類)の販売の事業の共同経営)

この“酒類 販売業 相続 申告書”を受けた所轄税務署長は、お酒(酒類)の販売の事業の免許の4つの要件、すなわち①人的な要件、②場所的の要件、③経営基礎の要件、④需給調整の要件の内、通例は、相続の者の人的な要件と経営基礎の要件だけが審査されてお酒(酒類)の販売の事業の免許の相続の可否が決定されることになります。

前述しましたが、お酒(酒類)の販売の事業の免許者の相続は、その“酒類 販売業 相続 申告書”を提出した相続の者が、その相続の時において、被相続人であるお酒(酒類)の販売の事業の免許者が受けていた免許と同じ免許を取得したものとみなされることになっています。

相続という事象から発生するお酒(酒類)の販売の事業の免許の申告であるため、審査の要件は大きく緩和されています。これは、提出する書類がお酒(酒類)の販売の事業の免許の「申請書」ではなく「申告書」であることからも明らかです。