全酒類卸売業免許について

全酒類卸売業免許とは

全酒類卸売業免許とは、読んで字のごとく、全ての品目の酒類が卸売できる免許です。
販売先は酒類小売業者、酒類卸売業者など、酒類の免許業者が対象となります。

全酒類ですので、清酒や焼酎を含む、ビール、果実酒(ワイン)、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、リキュールなど、全品目のお酒を扱うことができるようになります。

全酒類卸売業免許はものすごくハードルの高い免許

全ての酒類が卸売できるならば、最初から全酒類卸売業免許を取ってしまえば良いのではないか、と思う方も多いかもしれませんが、この全酒類卸売業免許はとてもハードルの高い免許です。

全酒類卸売業免許の取得をお考えの場合は、是非、当事務所にお気軽にご相談ください。


ハードルが高い理由1:免許可能件数が少ない

全酒類卸売業免許には免許可能件数という上限枠が決まっており、毎年“卸売販売地域=
概ね都道府県単位”ごとに交付の免許枠(上限数)が国税局酒税課で算出され、税務署長が公告します。国税庁ホームページにも掲載されます。

平成30免許年度(29/9~30/8)は、東京都で9件、神奈川県で1件、千葉県で1件、山梨県で1件でした。=東京国税局管内
関東圏、特に東京都でもこれだけ少ない件数ですので、門扉が狭いことが分かります。
《全酒類卸売業免許については、平成23年までは首都圏等では免許枠(需給調整要件)がありませんでしたので、免許付与自体がほぼ有り得ない、という状況でした。》

毎年9月1日にこの免許枠(免許可能件数)が公告され、そこから1ヶ月間(9月30日まで)が申請期間となります。
申請数が免許枠(免許可能件数)を超えた場合は、公開抽選によって審査順位が決まります。

審査順位は、審査の順番のことで、審査順位に従って審査が行われ、免許付与の要件を満たした者に順番に免許付与が行われます。付与件数が免許枠に到達した時点でその免許年度の全酒類卸売業免許の付与は終了と言うことになります。
(審査順位に従って審査が行われますが、申請者の中には免許要件を満たさないと判定される場合もありますので、審査順位が少しだけ下位という場合には免許が付与される可能性があるということになります。)

ハードルが高い理由2:厳しい審査基準

全酒類卸売業免許を取得するためには、とても厳しい審査基準(免許要件)をクリアしなければなりません。国税庁が定める基準を参考にすると、下記の条件を満たしていなければなりません。
ここでは要約した内容をご紹介しますが、国税庁の法令解釈通達では、さらに細かく確認できます。

  • 常勤の取締役が、酒類の製造や販売に10年以上の実務経験か、5年以上の経営経験を有していること
  • 少なくとも年間100キロリットルの取引を行うことができる資金や仕入・販売先の事業計画があること
  • 酒類蔵置などのための大型の設備・倉庫を有していること(賃借を含む)
  • 販売見込数量に見合った取引承諾書をある(用意する)こと

ここに記載した条件を満たす業者がまず少ないことと、取引承諾書等を用意するためには取引先との事前交渉と相当な手間とが必要であることから、全酒類卸売業免許は非常にハードルの高い免許だと言われているのです。

ただ、全酒類卸売業免許があれば、酒類販売には非常に有益となりますので、要件を満たした上で、更に酒類販売に注力したいという経営者の方には、申請する価値が十分ある免許であるとも言えます。

全酒類卸売業免許の取得をお考えの場合は、是非、当事務所にお気軽にご相談ください。