お酒(酒類)の免許の取得 「個人成り」

お酒(酒類)の販売の免許には、酒税法の法令解釈の通達で規定された「法人成り」と、法令の用語にはありませんがその逆の、税務署の実務的な取扱い事案として「個人成り」=法人でお酒(酒類)の販売の免許を取得した者の代表者などが、法人でのお酒(酒類)の販売の免許を廃止(取消し)して、個人の販売の免許の事業者として、新たにお酒(酒類)の販売の免許を取得してお酒(酒類)の事業を継続する事例があります。

「個人成り」という表現は法令用語ではありませんが、近年、主に“一般酒類小売業免許”の免許の区分で増えている事業主体の変更の申請です。これは、国税庁ホームページの「酒類販売業免許の新規取得者名等一覧」の免許の取得の者の公表でも“新規”としてしか表示されませんので、税務署の事務運営を実際に知らなければ説明することはできません。この内容表現は、
法人から個人への事業(営業)の主体の変更 (営業主体の人格の変更)
法人から個人への免許主体の変更
法人格⇒→個人の事業者へ 免許の事業(営業)の主体の変更
法人の免許を廃止(取消し)して個人の免許の事業者へ人格の変更をする
等々、適切な表現はありませんが、要は上記の免許の取得の人格変更です。

この情報欄では、その営業主体の人格の変更を行う理由は割愛いたしますが、この「個人成り」と「法人成り」との相違する要点について説明します。

「個人成り」は、法人がお酒(酒類)の販売の免許を取得して事業を行ってきたところ、これをその代表者などの役員(個人)がお酒(酒類)の販売の免許を取得し直すという形態です。 その事情は省略ですが、酒税法あるいはその法令解釈の通達では、想定もされておらず記載もされていない、申請又は取扱いですので“免許の区分”にも規定されていません。従って、簡単に述べれば、法人で取得していたお酒(酒類)の販売の免許を取消(廃止)申請して、その販売場で個人の事業者として新たにお酒(酒類)の販売の免許の申請を行い取得して営業する、という形態になります。

この個人の事業者にとっては、実質的には初めてお酒(酒類)の販売の免許の事業を行うわけではありませんので、個人としての販売の免許の取得は多少は付与され易いやすい(経営基礎要件)とも言えますが、法令上は完全にお酒(酒類)の免許の新規の取得となり、法令解釈の通達で規定されている「法人成り」とは全く異なるため、慎重に免許の申請を行う必要があります。また、それまでお酒(酒類)の販売の免許の事業(営業)の主体であった法人をその後どのようにするのか、販売場は同一のまま申請できるのか、等の検討を行ってから申請することになります。

なお、最も注意しておかなければならない点は、法令解釈の通達の「法人成り」とは異なり、お酒(酒類)の販売の免許の連続性がなくなってしまうこと、すなわち最長で審査期間である2か月程度はお酒(酒類)の販売の免許を有しないことになる、ということです。 お酒(酒類)の販売の免許の事業主体であった法人が免許の取消の申請を行い、その後、新たに個人の事業主が免許の申請、取得を行う形態となるからです(同一の場所にお酒(酒類)の販売の免許は二重には付与されませんのでこのような状態が生じます=場所的の要件)。

当事務所はその様な販売の免許の処理の経験もあり、代表行政書士は税理士の資格も有しておりますので、法人のお酒(酒類)の販売の免許の取消し(廃止)と、個人として新規の販売の免許の取得に向けた的確なサポートを行うことができます。