「酒税法」があるので、お酒を売るには「酒類販売業免許」が必須です。
この免許なしに酒類を売ると「50万円以下の罰金/1年以下の懲役」となります。

ここでいうお酒とは

「アルコール度数が1パーセント以上のもの」の中で「飲むことが目的のもの」のことです。

逆に「飲むことが目的でないもの」としては、医療用アルコールや食品用のお酒などがありますが、これらに関しては酒税法においては「お酒ではない」と定義されます。

さらに、お酒を「提供」する居酒屋などは、「販売」は行っていないという扱いになるので、酒類販売業免許を持っていなくても問題ありません。

しかし、その居酒屋に酒屋が併設されているのであれば「お酒を販売している」ことになるので免許が必須です。レストランなどの店の中でお酒を売る場合も考え方は一緒です。

加えて、ある短期間お酒を売る場合(物産、屋台など)は、「短期酒類販売業免許」の取得が必須となります。

一般酒類販売業免許を取得しなければならないかどうかに関しては、

1:長期的に販売するかどうか
2:容器に移して売るかどうか(移すなら一般酒類販売業免許は不要)

の2点が争点になります。
もちろん、アルコール度数が1%未満なのであれば「お酒」扱いはされません。

酒類販売業免許の取得難易度は高い

酒類販売業免許は税務署(販売場所を管轄しているところ)に申請します。
そして、税務署長から免許が付与されます。

審査で合格すると酒類販売業免許がもらえるのですが、
これについては「この条件のうち一つでも該当するものがあればダメ」という感じになっています。いわゆる「拒否要件」ですね。

本当に一つでも該当するものがあれば弾かれますので、酒類販売業免許の取得難易度はかなり高いです。

要件の例を挙げておきますね。

経営要件:経営の基礎に難がある
場所的要件:販売場所に難がある
人的要件:地方税や国税の滞納処置をここ24カ月で受けている

などなど。

それから要件を全部回避したとしても(=本来は合格できるレベルだとしても)、管轄エリアでの酒類の販売場所がたくさんあるとみなされれば、免許が付与されない可能性もあります。
この措置のことを、一般的に「需給調整上の要件」と言います。
文字通り「需要と供給のバランス」を取るのが目的です。

酒類販売業免許のタイプ

一般酒類小売業免許

これがあると、基本的にどのお酒でも販売可能です。
酒類の小売をしたり酒屋を経営したりするのであれば必須です。

また、全販売場について免許を取得しなければなりません。
例えば「本店1カ所・支店3カ所」などのスタイルなのであれば、合計4カ所において免許を取得しましょう。

通信販売小売業免許

「お酒をカタログやインターネットで広く宣伝し、多くの顧客に売る」というケースで取るべき免許です。このタイプの免許の申請も販売場所のエリアの税務署に対して行います。

ただし、単独の都道府県のみで販売するのであれば、「広く宣伝している」とみなされないので、ネットを使って売っていたとしても一般酒類小売業免許だけ持っていればOKです。

酒類販売業免許を取るまでの手順

1:要件をクリアしているか確認する

2:「酒類販売管理研修」に参加し、「酒類販売管理者」の資格を取る

3:必要な書類を全部用意する

4:税務署に申請する

5:審査開始(60日前後かかります)
※提出物に不備があったケースなどは、さらに時間がかかります。

6:「免許付与」もしくは「免許拒否」の通知が来る
※以下「免許付与」だったとして解説していきます。

7:税務署に30000円を登録免許税として支払う

8:酒類販売業免許がもらえる(再発行不可!)

酒類販売業免許についての注意点

酒類販売業免許に有効期限はありませんし「更新」もありません。
ただ、以下のような注意点があるので覚えておきましょう。

・申請したときの状態から変化した際はすぐに手続きをしなければならない
・酒類の販売状況などを毎年申告する義務がある
・免許の譲渡は不可
・免許を取得した個人事業主が法人化するのであれば再申請が必須

ただ、相続するのであれば相続人が継続して免許を使うことが可能です。

酒類販売業免許を自分だけの力で取得するのは困難です。
色々ややこしいですし、条件も厳しいですからね。
ですから、行政書士などのプロフェッショナルに助けてもらいながら取得を目指すことを推奨します。