酒類免許の移転は、酒類製造免許と酒類販売業免許のいずれにも事例はありますが、酒類製造免許に関しては、その酒類製造場の移転ということになりますので、極めてレアなケースです。そこで、この情報欄では酒類販売業免許の移転について説明します。
酒類免許の移転をするには?
酒類販売業免許の移転は、その免許を受けた酒類販売場の移転ということになります。
酒類販売業免許の効力は、免許を受けた酒類販売場に限られます(酒類免許の場所的要件)ので、この酒類販売場を他に移転する場合には、既存の酒類販売場の免許が消滅し、移転先において新たに酒類販売業免許を受けるべきものですが、既酒類販売業免許者であること及び事務の簡素化等を考慮して、酒類販売場の移転という例外規定を設け、この許可を受けることにより、当該酒類販売業免許の効力を移転先の酒類販売場に発生させることとしたものです。
酒類販売場を移転しようとする場合には、酒税法施行令の定めるところにより、移転先の所轄税務署長の許可を受けなければなりません。
この場合、移転許可を受けるため“酒類販売場移転許可申請書”を、その移転前の住所地の所轄税務署長を経由して、移転先の住所地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
この“酒類販売場移転許可申請書”を受けた移転先所轄税務署長は、原則として酒類販売業免許の4つの要件、すなわち①人的要件、②経営基礎要件、③場所的要件、④需給調整要件の内、場所的要件と需給調整要件だけを審査して酒類販売場移転許可の可否を決定することになります。
従って、通例、主には需給調整要件だけが優先して審査されることになりますので、移転しようとする酒類販売業免許の区分にもよりますが、仮に既存の酒類販売場と移転先酒類販売場が同一の所轄税務署内であれは、比較的簡単な審査が行われて移転先酒類販売場での酒類販売業免許が付与される、ということになります。
しかし、他の税務署の所轄内に酒類販売場を移転することになる場合は、酒類販売業免許の需給調整要件が新規の免許申請とほぼ同様のレベルで審査されることになりますので、酒類販売業免許の移転が認められるか否かは不確定ということになります。